2025/04/08 08:26
小生は1971年に高校を卒業、大学浪人のために上京しました。
美術系の大学志望で、浪人は当たり前の時代でした。
最初は、予備校...というか美術研究所が紹介してくれた寮に入っていましたが、夏頃にそこから目白(住所は新宿区下落合)の3畳一間の下宿に引っ越しました。
ビクターのパーソナルステレオ(小型です)を実家から送ってもらい、下宿近くの西武池袋線椎名町寄りにあった「目白堂」と言うレコード屋さんで、少ない小遣いながらLPを買っては聞いていました。
なんと、テレビは持っていませんでした。
当時はパソコンなんてもちろんなかったですし(^^;。
目白堂さんはレコード1割引きで、小さな試聴室がふたつあり、リクエストするとレコードを店のステレオが他の試聴者で埋まっているときは、その試聴室で試聴させてくれました。
なんと、その小さな試聴室はマトリックス4チャンネルにしてありました。
たぶん、4チャンネル全盛だった頃で、SQ4とかCD4を聞けるようにしてあったのでしょうね。
普通の2チャンネルはマトリックスでした。
そこで関心を持ったのが、ARCHIVから出ていたカール・リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管弦楽団の管弦楽組曲全集2枚組LPでした。
試聴室のマトリックス4チャンネルの効果は抜群で、包み込まれるような音響の中、ゆったりとはしていますが、厳しい表情で第1番の序曲が流れてきた瞬間、その音の虜になりました。
涙が出そうになりました。
2枚組の値段は高かったですが早速購入、もちろん下宿にあるステレオは4チャンネルではありませんが、ほとんどヘッドフォンで聞いていましたので、2チャンネルでもあまり気にならず、愛聴盤になりました。
その後、ミュンヒンガーやパイヤール、マリナーなどの同全集も聞きましたが、刷り込みであるリヒター盤を上回る感動を得ることはできませんでした。
さらに古楽での演奏録音が聞けるようになり(最初は折衷型のコレギウム・アウレウム合奏団だったか)、数多くの同全集を聞きましたが、なんだかバッハから厳めしさを取り払った、快速のイタリア風バッハが多かったみたいで、「こういう演奏もありか?」と思う反面、感動を得られたことはありません。
今でも、古楽器の演奏ではないものの、リヒター盤を上回る演奏録音はないと思っています。
あのクレンペラー番でさえ(マタイ受難曲やロ短調ミサはまた別ですが...)。
なお、1971年当時に買ったレコードは結婚を機に処分してしまっていましたので、画像は買い直したLPのジャケットです。
もう一つ、CDも持っていましたが、なんだかステレオ感がLPよりも後退したような感じで、LPを買い直した結果、結局処分してしまったのでした。
これはLPレコードで聞くべき録音でしょうね、たぶん。
SACDやハイレゾ音源になったことがあるかどうかは存じ上げません。
