2025/04/12 07:00
マーラー:「大地の歌」を初めてLPで買ったのは高校2年生の頃、「レコード芸術」誌での評判があまりにもよかったものだから、アルバイトで稼いだお金でワルターのDECCA(LONDON)盤を買いました。
当時は2枚組で、「リュッケルトによる3つの歌」(本当は5つの歌だけど)がフィルアップされていました。
そのLPは処分してしまいましたが、同じものを探し出し、今でも棚にあります。
次はバーンスタインのDECCA録音でした。
ジャケットが野付半島のトドワラだったと思うのですが、ものすごく印象的でワルター盤ともどもよく聞きましたっけ。
でも、長い間気になっていたのが、クレンペラーの「大地の歌」で、少ないアルバイト代の中から工面して購入、衝撃を受けました。
テンポはゆったり気味ですが、その音がニヒリスティックと言うか、スコアに書いてある音をすべてきちんと演奏をさせた...という凄みがありました。
マーラーが作曲中にワルターに語ったという言葉、「この音楽を聞いたら、自殺者が出るかもしれないね」は、ワルター盤やバーンスタイン盤ではそれほど感じなかったのですが、クレンペラー盤の印象は、まさにそのものズバリでした。
テノールのフリッツ・ヴンダーリッヒ(ヴンデルリヒ)の第1楽章からの絶唱、クリスタ・ルードヴィッヒの安定して言葉がよくわかる名唱など、どこをとっても素晴らしい録音です。
フィルハーモニア管弦楽団の解散、再編のゴタゴタや、歌手のスケジュールが合わず、2年間を置いて完成された録音ですが、クレンペラーの「大地の歌」への解釈は変わらず、一貫しているところも凄いです。
特に、最後に"Ewig...Ewig...(永遠に)"が繰り返されますが、マンドリンやグロッケンなどの楽器がしっかりと聞こえるところなど、無常感が漂っていて涙を誘います。
楽曲が終わってしばらく椅子から立てません...と言うか、立ちたくありません。
フルマニュアルのレコードプレーヤーはそういうわけにはゆきませんが(^^;。
以後、夥しい数の「大地の歌」を聞いてきましたが、クレンペラーに勝る録音には出会えていません。
他の指揮者のもので案外気に入っているのは、故宇野功芳氏に失敗作と言われたヨッフムのDG盤でしょうか。
この録音、LPは発売国を変えて何種類か棚にあるのですが、画像は、今は懐かし小生が初めて買った東芝赤盤です。
