2025/05/21 08:51
まあこれは「椅子縛りのLP&CD」というより、何回聞いて勇気をもらっただろう?というCDです。
カラヤンのベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」(1984年録音)で、カラヤンのベートーヴェン交響曲全集の中での録音としては最後の「英雄」です。
元々、ワルターの「英雄」が好きでよく聞いていましたが、カラヤンの新しい録音がリリースされ、「どんなんだろう?」と買ってみたのですね。
マルPが1986年となっていますので、買った当時、小生はまだ33歳でした(^^;。
冒頭、二つの打撃音がつんのめるようで、最初は「あれれ...」であまりのめり込めませんでした。
ところが第1楽章が進行すると、その押し切るようなテンポとオーケストラ・バランスに聞き入るようになり、第2楽章葬送行進曲後半のフーガで、見事にやられてしまいました。
演奏評に「切ったら血が出るような演奏」と言う言葉がありますが、第2楽章はまさにそのような演奏録音ではないかと思っています。
同時期のカラヤン:ベートーヴェン交響曲全集の中で、「英雄」だけ録音がイマイチという意見もありますが、小生にはあまり気になりませんでした。
第3楽章、第4楽章はその勢いで聞き(第4楽章も素晴らしいですね)、フィルアップされている「エグモント」序曲まで一気呵成に聞いてしまえます。
小生の若いころ、いろいろ壁にぶち当たると、このCDを聞いて勇気とやる気を奮い立たせていた...という、思い出深いCDと言えます。
では、カラヤンの以前の録音は?ということでセッション録音を3種、ライヴ録音をいくつか聞いてみましたが、1984年録音のような切羽詰まった勢いのようなものは感じられませんでした。
よく、「カラヤンの解釈はいつも一緒」と言う方がおられますが、そうでもないみたいです(^^;。
今回聞き直してみて、やっぱり凄い演奏録音だな...とあらためて思いました。
